日常的な浸出法で調製した緑茶が多面的な脂質代謝調節を通じて脂肪肝を予防することを解明
本研究科2年の折田 宰さんの研究成果が、インパクトファクター 5.4の国際英文誌『Food & Function』に掲載されました(2025年9月22日)。
本研究では、伝統的な日常浸出法で調製した緑茶抽出物(GTE)が、脂肪・コレステロール・精製糖を多く含む西洋型食(WD)によって誘発される非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)に対してどのような予防効果を持つかを検討しました。GTEを0.5%または1%添加した結果、血清中の肝機能マーカー(AST、ALT)や肝臓中の中性脂肪(TG)の上昇が抑制され、同時に糞中へのTG排泄が促進されました。さらに、膵リパーゼ活性をGTEやカテキン類、特に没食子酸型カテキンが強く阻害することを確認しました。また、主要成分である(-)-エピガロカテキン-3-ガレート(EGCG)は、肝細胞において脂質合成を抑制し、脂肪酸分解に関与するカルニチンパルミトイルトランスフェラーゼ1(CPT1)を増加させました。
さらに、腸内細菌叢の16S rRNA解析により、GTE摂取がWDによって上昇したFirmicutes/Bacteroidetes比を低下させ、腸内環境を改善することが示されました。これらの結果から、日常的に緑茶を伝統的な浸出法で飲むことが、脂質吸収の抑制、肝脂質代謝の調節、腸内環境の改善を通じてNAFLDの予防に寄与する可能性が示唆されました。なお、本研究はその学術的・視覚的なインパクトが評価され、同誌2025年12月号の表紙に選出されました。
■ 論文情報
Title: Green tea prepared via the daily infusion method prevents non-alcoholic fatty liver disease by targeting intestinal lipid absorption, hepatic lipid metabolism and gut microbiota composition
Authors: Tsukasa Orita, Satoshi Chogahara, Kozue Sakao, Qian Lin, Daichi Ijiri, De-Xing Hou
Journal: Food & Function (IF 5.4)
DOI: https://doi.org/10.1039/D4FO05479B