鹿児島大学農学部附属高隈演習林で養菌性キクイムシの新種を発見~「タカクマオオキクイムシ」と命名、日本初記録2種も確認~
鹿児島大学大学院連合農学研究科博士課程3年のYogo Setiawanさんは、日本から養菌性キクイムシの新種1種と、日本初記録となる2種を発見しました。本研究は、鹿児島大学農学部附属高隈演習林で実施している博士研究の一環として行われたものです。研究成果は、2026年7月14日付で国際学術誌 ZooKeys に掲載されました。
本研究は、ミシガン州立大学の養菌性キクイムシ分類学研究者のほか、佐賀大学およびインドネシア・ブラウィジャヤ大学の研究者との共同研究として実施されました。
今回発見された新種は、Hyorrhynchus takakumaensis Setiawan, Hata & Smith sp. nov. と命名され、標準和名として「タカクマオオキクイムシ」が提唱されました。種小名 takakumaensis は、本種が採集された鹿児島大学農学部附属高隈演習林に由来します。同演習林は、鹿児島県・大隅半島の高隈山地に位置しています。また、新種の記載に加えて、これまで日本から記録されていなかった2種の養菌性キクイムシも確認されました。これらは、Anisandrus auratipilus Smith, Beaver & Cognato, 2020 と Debus shoreae (Stebbing, 1907) です。
A. auratipilus の日本からの記録は、中国福建省で採集された標本に基づいて本種が初めて記載されて以来、世界で2例目の記録となります。一方、D. shoreae は、主に東アジアから東南アジアの熱帯地域に分布することが知られています。
今回の新種発見および新たな分布記録は、生物多様性を記録するとともに、キクイムシ類、とりわけ樹皮下穿孔性キクイムシおよび養菌性キクイムシの生物地理学的分布に関する理解を深める上で重要な成果です。これらのキクイムシ類は、枯死木の分解や養分循環に関与するなど、森林生態系において重要な役割を果たしています。一方で、一部の樹皮下穿孔性キクイムシおよび養菌性キクイムシは、生きた樹木を加害したり、新たな地域へ侵入・定着したりすることで、農業や林業における重要害虫となる可能性もあります。
【掲載論文】 A new species of Hyorrhynchus Blandford, 1894 (Coleoptera, Curculionidae, Scolytinae, Hyorrhynchini) and two new records of xyleborine ambrosia beetles from Japan.
【著者名】Setiawan Y, Smith SM, Sakamaki Y, Tokuda M, Tarno H, Hata K
【掲載誌情報】ZooKeys 1284: 347-356
【DOI】https://doi.org/10.3897/zookeys.1284.195890
タカクマオオキクイムシ Hyorrhynchus takakumaensis Setiawan, Hata & Smith sp. nov.
Anisandrus auratipilus Smith, Beaver & Cognato 2020

