麹の製造時間を変えることで、フルーティーな香りをもつ芋焼酎をつくることに成功
本研究科2年のHaoyu Zhu(朱 浩宇)さんらの研究成果が、インパクトファクター6.2の国際英文誌『Food Bioscience』に掲載されました(2026年5月14日オンライン公開)。
芋焼酎の製造では、麹は発酵に必要な酵素を供給するだけでなく、最終的な香りや品質を左右する重要な役割を担っています。通常、白麹菌を米に生育させ、約43時間培養した「出麹」を用いて発酵を行います。一方、麹造りの途中には、19時間、23時間、27時間で重要な手入れ(撹拌)工程があります。しかしながら、これら異なる段階の麹が、その後の芋焼酎の発酵や香りに与える影響は明らかにされていませんでした。
本研究では、麹を19時間、23時間、27時間、43時間培養した4種類の麹を用いて芋焼酎を製造し、麹および発酵中のもろみにおける酵素活性、アミノ酸量の変化、焼酎中の揮発性成分、さらに官能評価による香りや味の違いを比較しました。
その結果、19時間の麹を用いた芋焼酎では、43時間の出麹を用いた芋焼酎と比較して、酵母のアミノ酸の利用パターンが異なり、高級アルコール、ならびにバナナ様などのフルーティーな香りを呈するエステルが約2倍多く生成されました。官能評価においても、19時間の麹を用いた芋焼酎では、バナナおよびリンゴ様の香りが強く感じられ、出麹を用いた芋焼酎では、芋焼酎らしい香りが強く感じられました。
これらの結果から、麹の製造時間を変えることで、発酵中の酵母によるアミノ酸の利用や香気成分の生成が変化し、最終的な芋焼酎の香りを変化させられることが示されました。特に、麹の製造時間を短くすることで、フルーティーな香りを特徴とする芋焼酎をつくることが可能であることが示されました。
本研究は、麹の製造時間を制御するという新たな酒質設計の可能性を示したものであり、多様な芋焼酎の開発につながることが期待されます。
【掲載論文】Koji maturation dynamics regulate enzymatic activity, amino acid metabolism, and aroma formation across fermentation in imo-shochu
【著者名】Haoyu Zhu, Yumiko Yoshizaki, Mizuki Watanabe, Yuta Anan, Taiki Futagami, Hisanori Tamaki, Kazunori Takamine
【掲載誌】Food Bioscience